本研究では、大学におけるディベートを中心としたプロジェクト型英語授業における到達目標を基にしたガイドラインを開発する。この到達目標は、同タイプの授業を通して養成したい/される具体的な能力を文章化したもの(「…の根拠の弱さを一定の条件で指摘出来る」等)であり、学生・教員の(自己調整)チェック・リストになり得るものである。初年度は、文献調査、および専門家へのインタビューを通して、項目作成にあたった。第一言語(日本語、英語)、外国語としての英語、授業、課外におけるディベート関連の文献調査から、項目を抽出した。また、そこにはCritical Thinking(以下、CT)への言及がみられるため、その分野の書籍、および専門機関の訪問、専門家へのインタビューをおこなった。その一環としてアメリカ(CT関連のSpring Workshop)、OECDの学会(思考力の国際テストの最新情報)、その他(人工知能における「議論」のとらえ方)に出向き、項目を作成する情報を得ることにつとめた。すべて、CTに関連することであり、そのために本研究の到達目標を作成する重要な枠組みとなった。また、CT研究者が考える、ディベートでは促進しにくいCTのある側面なども上記調査により得ることができ、それらは到達目標のなかで、どう組み込むかが二年目以降の課題となる。上の各研究者/学会から得られた、知識、スキル、態度という三つの観点に加え、外国語としての英語、という観点がどのように入り込むかを考慮しながら、分類した。これらの項目を、二年目からは、学生、教員へのアンケートという形を通して、修正していくことになる。
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