研究課題/領域番号 |
22720219
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
深田 芳史 明星大学, 人文学部, 教授 (60350279)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 留学生 / ソーシャルネットワーク / Social space / Cultural capital |
研究概要 |
昨年度は、特別研究員としてハワイ大学に滞在し研究に専念することができた。本研究については、Dr. Kathryn Davisの元でCritical (auto)ethnographyについて学びながら、この新たな研究手法を用いてハワイの地でさらにデータ収集を行なった。数名の留学生、そして、EFL話者の一人として私自身を研究対象者とし、長期的にインタビュー、参与観察を行ない、ある程度データが収集された時点で、データ分析も同時並行で行なった。24年度に行なったこの研究では、留学生たちは、非英語母語話者だけでなく、地元の英語母語話者との社会的ネットワークをいかに拡大し、英語使用機会を獲得できているのかを調査した。 本研究結果は現在まだ論文にまとめている段階であるが(特別研究員期間が終わる三月下旬にDr. Davisにfirst draftを提出)、留学生/英語学習者といっても、彼・彼女たちの社会的ネットワーク構築パターンは一様なものではなく、それぞれ、自身が持つ知識/スキル(例:韓国の伝統楽器のスキル、知識;日本語/日本文化に関する知識;Skimboardingスキル、など)がCultural capitalとして認められるSocial spaceを見つけ、その中でより主体的、積極的に英語を介したやりとりに参加していることが分かった。また、留学先であるハワイ内のどのSocial spaceに自身の身を置くかによって、また、一つのsocial space内においても、彼・彼女たちの英語会話参加における主体性/積極性、自信、性格はダイナミックに変化するものであることも明らかにすることができた。 こうした結果は、科研費申請時には予定していなかった、Critical (auto)ethnographyという新たな研究手法でこの研究を行なった為に得ることができたものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二十四年度は、特別研究員としてハワイ大学に1年間滞在し、研究のみの専念することができた。本研究についても、ハワイで、新たな研究手法を用いて数多くの質的データを収集し、これまでとは異なる研究結果を得ることができた。こうした研究結果は、海外の二つの学会で発表し、今、取り組んでいる論文の執筆に役立てることができた。また、昨年度、JALT学会(2011)に提出したProceedings論文がBest paperに選ばれ、当学会の学会誌(TLT)に論文の要約記事が掲載された。これらの点を総合して、「②おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、本研究の最終年度となる。アメリカ(ホノルル、サンフランシスコ)/日本(東京で)補足データを収集しながら、これまでの収集したデータの分析結果を論文にまとめていきたい。また、さらに複数の学会で本研究結果を発表することを目指す。
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