英語力の向上を目指し英語圏に留学する人々は依然として多いいが、留学しても目標言語使用機会が自動的に得られるわけではないことが過去の多くの研究で明らかにされている。そこで本研究では、留学生たちが、実際どのように目標言語使用機会を獲得することができているのかを調査した。 本研究を開始して三年目となる24年度には、特別研究員としてハワイ大学で本研究を続ける機会を得た為、Dr. Kathy Davis指導の元、クリティカルエスノグラフィーを採用して本研究を続けた。この年度は、数名の留学生とESL話者として自分自身も研究対象とし、それぞれが、どのように現地の英語母語話者との目標言語使用機会を獲得し、また、目標言語を介して現地の人々と交流を深めているのかを調べた。その結果、彼らは、自身の技能/知識が文化資産として認められる親和空間においては社会的主体として目標言語を介した社会的やりとりにも積極的に参加できることを明らかとなった。 最終年度の25年度は、24年度に行なった研究を細分化し4度にわたって学会発表を行なった。その内、一つのポスター発表は、学会(SLAT2014、アメリカ)から第一位を授与された。また、論文については、研究対象者である一人の留学生に焦点を当てて論文を執筆し、ある学術ジャーナルに投稿した(審査中)。現在、アメリカで行なわれるもう一つの学会に発表プロポーザルを投稿しており、論文も、ESL話者としての自分自身に焦点を当て集めたデータを論文にまとめ始めた。今後は、本研究テーマでさらにもう一本の論文執筆を予定している。26年度4月からは、大学院博士過程(東京大学総合文化研究科言語情報科学専攻)に進学した為、本研究に関わるデータを国内外でさらに集め、関連する概念的・理論(の構築を目指して研究を継続していきたい。
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