本研究の目的は、高専生の英語読解能力を身に付けさせるための教材開発を行うことにあり、既存の機械翻訳等に頼ることなく、自らの力で英文を読むことができるように学習支援をするためのシステムを開発することである。今年度の研究活動内容としては次のことを実施し、以下項目別に具体的に述べることとする。(1)英文読解支援システムに実装するための語彙難易度表や語彙頻度表及び語義等を収集し、各種語彙情報の統合を行いデータベース化したものをさらに精密化させることに従事した。(2)学習者の英文読解手法に関する調査による結果に基づき、試行運用を兼ねて英文読解の指導やシステム利用による自学自習の取組を行った。当初の読解では、高専生(学習者)は構文認識をしながら英文読解を行うことは少なく、単語の意味を隣接する単語同士で結び付け理解していく傾向にあることが示されていたが、システムによりコーパスの品詞標識(タグ)や構文解析のデータにより、構造を意識した読み方が見られるようになった。今後は読解の精度向上が期待されるところである。(3)コーパス分析ツールであるtaggerやparserの教育転用を実践したことにより、学習者に苦手あるいは敬遠傾向のある品詞標識や構文解析情報を提示し、語義だけでなく英文構造の理解を通した英文読解ができるよう、データ駆動型学習の教育環境の整備に関する発表を行った。今後も、システム試験運用と継続的な修正プログラミング及び学習効果測定を実施し、持続的な研究活動を行っていきたい。
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