研究課題/領域番号 |
22720236
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研究機関 | 北海道開拓記念館 |
研究代表者 |
東 俊佑 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (30370224)
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キーワード | 先住民 / アイヌ / ニヴフ / サンタン / サハリン / 樺太 / 博物館 / 交易 |
研究概要 |
平成23年度は、(1)平成22年度に実施したサハリン・ネクラソフカ村における聴き取り調査・物質文化資料の調査事項の整理作業、及び(2)近世文書資料の調査を行った。 (1)について。聴き取り調査の内容は、日本列島北方域(アムール川下流域・サハリン等)における先住民の交易活動に係る認識の有無、交易品(中国製絹織物、ガラス玉、中国古銭、真鍮製飾り等)についてである。この聴き取り調査の模様を録音したMP3ファイル(音声)、MPEG4ファイル(映像)を翻訳業者に依頼し、ロシア語のテープ起こし、及びその文字データの日本語翻訳作業を行った。また、そのデータをもとに、インタビュー当時のメモや記録類、関連情報等を勘案し、調査概報にまとめるための整理作業を行った。物質文化資料の調査の整理については、主に真鍮製飾り(ヴチ)の写真の整理を行い、関連する日本、ロシアの博物館・研究所等の図録、図版と比較しながら、形態や用途別に整理作業を行った。 (2)について。江戸時代に日本列島北方経由で流入した交易品(とくに「蝦夷錦」「山丹服」等)やサハリン先住民の物質文化資料について、資料が描かれている写本・刊本類の挿絵、画像の調査を国立公文書館等において行った。対象とした史料は新井白石『蝦夷志』、間宮林蔵述・村上貞助編『東韃地方紀行』『北夷分界余話』、松田伝十郎『北夷談』等である。 以上の整理作業や検討は、19世紀後半において日本・中国・ロシアといった国家の少数民族に対する支配・対応の仕方が変わるなかで、交易のあり方も変容する様子を探るうえで重要な基礎作業であり、次年度は、得られたデータをもとに分析を行い、成果を公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成22年度に行った聴き取り調査に関して、ロシア語とニヴフ語の両方が混在した形でインタビューを行っていたため、テープ起こしに思いのほか時間をとられたことと、研究以外の職場における業務量の肥大化により、充分な分析時間を確保することが困難となったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度早々にハバロフスク地方における物質文化資料の調査を行い、データを速やかに整理し、当該年度末に研究成果を公表する。
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