第一に、東京大学史料編纂所に保存されている修史局・修史館文書のうち、修史局・修史館の日記類および職員履歴等をデジタル撮影し、その内容を解析した。なお、デジタルデータについては、東京大学史料編纂所のサーバ上にアップし、所蔵史料データベースから画像によって閲覧可能な状態となっている。 第二に、修史部局とその外部機関との情報授受のあり方を解明するため、長野県庁文書(長野県立歴史館所蔵)の調査を行った。その結果、県庁の修史・地誌編纂担当部局は、単に太政官修史部局との情報の往復をおこなっていただけではなく、県庁内外の各種調査・情報集積のセンター的機能を果たしていたことが明らかとなった。この点は、前年度までに明らかにした「修史」と「記録」の未分離という事態が、中央政府のみならず府県庁でも析出できる事態であることを解明したものである。 第三に、新潟県文書館に所蔵されている史料の調査をおこない、戊辰戦争従軍者の記録である「勤王家履歴届」について検討した。 本年度は研究計画の最終年度であり、前年度までの蓄積を踏まえ、明治政府の同時代史編纂に関する全体像(「復古記」「明治史要」「征西始末」の三同時代史編纂物の相互連関関係)を提示する作業も行い、その成果を論文として発表した。
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