本研究は、(ア)鎌倉幕府守護関係史料・論考を網羅的に収集・整理した基本的データを提示し、(イ)現段階の史料残存・研究状況で判明する限りで、時期ごとに各国守護の任免(あるいは不設置)状況を確定したうえで、それらをもとに、(ウ)これまで議論の一致をみていない、鎌倉期守護の存在形態や任免状況に関する統一的視座を提示することを目的とする。 本研究を進めるうえで「作業台」となるのは、今回作成した、A「鎌倉幕府守護関係史料データベース」と、B「鎌倉幕府諸国守護沿革考証ノート」である。Aはデータベースソフト、Bはワープロソフトで作成したものである。 平成22年度は、自治体史史料編をはじめとする史料集や、多数発表されている先行論文をもとに、AとBのデータを整理・増補する作業を進めた。また、平成22年度に入ってから、伊藤邦彦『鎌倉幕府守護の基礎的研究』(岩田書院、平成22年4月)計2冊が、新たに刊行されたため、同著で提示された新データや新知見を反映させるとともに、逐一の指摘の是非について検証作業に着手した。 平成22年度は、(ア)と(イ)に関する基礎的データ・知見の収集・整理を進めたということになる。 そうした作業を経て、各国守護の任免状況の検討を進める過程で、まず、鎌倉期の若狭国守護に関する再検討を企図した論文「鎌倉期若狭国守護の再検討」を執筆し、査読雑誌『日本史研究』に投稿した結果、採用・掲載が決定した(掲載号は、平成23年4月以降で、未定)。
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