現代日本のおみやげ文化は、世界的にみても特徴的なものである。また、歴史的にみても前近代と現代のそれは、大きく異なる。本研究では、鉄道、博覧会、軍隊といった近代的装置との関わりを軸にその形成の過程を明らかにしたものである。神社仏閣への参詣と密接に関わって生まれた近世のおみやげは、持ち運びしやすく、腐らない非食品に限られていたが、明治時代以降、さまざまな近代的な装置の影響のもとで、近世的な名物菓子が次第におみやげとして商品化されていった。このように、近代日本のおみやげ文化は、近世日本とも外国とも異なる特異なおみやげ文化を形成していったのである。
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