甲府盆地周辺地域を対象にして、人々が自らの生活基盤を守るために育んだ治水・利水技術の展開や、自然環境の変化の状況などについて考察した。 この結果、甲斐国の代表的な治水・利水技術である牛枠類の使用は、甲斐国および天竜川流域を中心にして、天竜川流域からその西方を流れる豊川や木曽川の各流域へと広がったこと、また、江戸時代の甲斐国で実施された治水事業では、水害を被る村落間のネットワークが機能していたことが明らかとなった。 そして、これらの技術や地域のネットワークをふまえて、17世紀初頭から継続した耕地開発と用水路建設にともなう畑地から田地への転換が、地域の景観に影響を及ぼしたことを指摘した。
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