研究課題/領域番号 |
22720273
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
櫻井 智美 明治大学, 文学部, 准教授 (40386412)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 東洋史 / 中国 / モンゴル |
研究概要 |
本年度は、これまで同様、『元代史研究文献目録 1971-1988』(立正大学東洋史研究室)の凡例に沿って、1989年以降のモンゴル帝国治下中国の祭祀・宗教・文化政策、及び政治・社会などと関連する研究文献の収集・整理とデータベース化を進めた。中国大陸における近年の出版物増加にともない、新出著作の収集に力を入れた。日本国内では、他の時代における本項目との関連課題(礼楽祭祀・教育・仏教研究)でめざましい進展が見られたため、その内容を理解してモンゴル帝国時期との比較をしたり、方法的応用が可能かについて考察を加えたりした。 夏期休業中には、所属大学の国外学会参加費の補助を受けて本項目の成果を報告するとともに、その学会の前後を利用して、北京・天津の教育施設・宗教施設の現地踏査を行った。この学会参加を通じて得られた情報については、関連する科学研究費の研究項目の成果として、渡辺健哉氏と共著で学会参加記録を公刊した。この学会発表と現地踏査を通じて、本課題に関わる関連施設の保存の現状及び最新の研究成果を知ることができ、近年の中国における研究の数的・質的上昇を痛感するとともに、本課題におけるデータベース作成の価値を再認識することができた。 上記の学会で報告した「元代の岳涜祭祀―済涜廟祭祀を中心として―」(邦訳名)は、モンゴルの五岳四涜に対する祭祀活動が持つ意味について、モンゴル時代特有の領域概念・天下意識などと結びつき、またそれを探る糸口となることについて提起したもので、『元史論叢』第14輯へ投稿し、平成25年度中に公刊される予定である。これまで続けてきた済涜廟との学術的な意見のやりとりも継続させている。 本年度までに作成を分担した放送大学のテレビ科目「歴史からみる中国」の第6・7回講義及びその教科書(吉澤誠一郎編著、放送大学教育振興会)にも、本研究の成果が反映されていることを付記しておく。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究論文の準備作成については当初の計画通り進めているが、所属大学で検討されていた「中国知識資源総庫(CNKI)の購入が正式に見送られたため、データベース作成のための中国語論文の収集遅れが大きくなってきた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成25年後は最終年度にあたるため、考察の成果については具体的な論文として発表する。データベースの構築と、一般向けの中国祭祀施設関連マップの作成については、謝金や業務委託では予算の不足が明らかであるため公開方法の変更も検討するほか、平成24年度、海外学会での報告や外国語論文の校閲という本研究課題の成果公刊を所属機関内の研究補助予算で行ったように、学内の補助が得られないかどうかも検討していく。
|