研究課題/領域番号 |
22720285
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
後藤 はる美 国際基督教大学, アジア文化研究所, 研究員 (00540379)
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キーワード | イギリス / 近世 / 君主政 / 国家 / 法延 |
研究概要 |
昨年度に引き続き、近世イングランドにおける統治の問題を「君主制の共和国」の視点から考察した。具体的には、以下の3つの課題に取り組んだ。 1)前年度から継続している1670年代「排除危機」下での「シャフツベリ裁判」を切口に、ロンドン市民と大陪審、ホウィグ党との関係について、党派・社会層の対立の構図とそれぞれの言説に注目して分析を進めた。 2)また、新たに1650年代、「君主のいない」共和政時代の国制のありかたについて、上記の1670年代との比較の視点から研究を進めた。王でなく王である「護国卿」のもとでの王国統治の再編や、共和制時代の記憶の問題は、初期および後期ステユアート朝の構造的問題と、その展開を考える上で有益であることが再確認された。 3)さらに、時期的・地域的な比較の観点からさらに考察を深めるべく、これまでに研究蓄積のあった初期ステユアート朝治下のヨークシャにおける国教忌避者訴追の問題について、事例研究を論文にまとめた(現在、査読誌に投稿中)。同論文では、法廷での言説をもとに、ヨークシャという中央の目の届きにくい辺境地域において州および教区エリートが、地域の合意形成が困難であった国教忌避という新たな「犯罪」にどう対応したのかを分析した。 これらの研究遂行にあたっては、オンライン・リソースEEBOやECCO等を活用したほか、夏季に渡英して、英国図書館(British Library)、ケンブリッジ大学図書館(Cambridge University Library)、ボドリアン図書館(Bodleian Library)などを訪問し、資料収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究実績を有効に生かすことができ、年代別の考察がおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の構想よりも考察の対象期間が広がった。最終年次にあたる24年度は、各年代のミクロな事例の検証よりも、内戦期をはさんだ初期・後期ステュアート朝下での統治の構造的な問題に重心をおいて、研究成果をまとめてゆきたい。
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