本研究課題の最終年度にあたる平成24年度は、これまでの調査をもとにした総合的な考察が主要課題となった。1610年代、1650年代、1670年代について行ってきた事例研究をもとに、君主制と共和制、コモンロー的伝統と古典的共和主義、臣民と市民の二つの伝統が、併存・接合されつつ展開する様を確認した。また、それらを内戦期をはさんだ初期・後期ステュアート朝の構造的な問題として、連続的に位置づけ直す手がかりを得、近世的な「君主のいる共和国」(およびその反転としての「君主のいない共和国」)統治のしくみの理解を深めた。その成果の一部は、2013年5月に開催される第63回日本西洋史学会大会小シンポジウムにて報告予定であるほか、論文を準備中である。 これらの研究遂行にあたっては、オンライン・リソースEEBOを活用したほか、夏季および冬季に渡英して、この分野で活躍する第一線のイギリス人研究者と意見を交換し、また、英国図書館(British Library)、ケンブリッジ大学図書館(Cambridge University Library)などを訪問して資料調査を行った。
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