本課題は、近世イングランドの統治システムを「君主制の共和国」の視点から再検討することを目標に、(1)革命前夜(1610年代)、(2)革命期(1650年代)、(3)王政復古期(1670年代)に着目し、各時期における民衆の政治参加の特徴とその統治における意義を検討した。そこで明らかになったのは、君主制と共和制あるいはコモンロー的伝統と古典的共和主義の二つの伝統が、併存・接合されつつ展開する様である。また、それらを、内戦期をはさんだ初期・後期ステュアート朝の構造的な問題として連続的に位置づけ直す手がかりを得、近世的な「君主のいる共和国」(および、その反転としての「君主のいない共和国」)の統治構造の理解を深めた。
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