弥生時代を中心に土器の製作技術、焼成方法、規格度、搬出量から土器生産体制について考察した結果、内的な技術の発展を基軸として後期に大量生産への志向を強めることが明らかになった。一方で、使用方法という別の観点から検討すると、食事様式は外的な影響を強く受けていることがわかった。さらに、朝鮮半島南部の土器生産と比較検討した結果、技術においては大きな格差のある一方で、生産体制と分業化過程においては、近い時期に変化することが理解された。朝鮮半島との技術的格差があってもなお、上位階層の管理のもとに生産拠点を集約生産させるという戦略が西日本でもとられたことが理解されるのである。チャイルドは経済的な発達が専業と分業化を促進すると考えたが(チャイルド1951)、西日本においては、クラークらの指摘するように、むしろ政治的統合や社会の階層化と強く相関しながら、専業化していると考えられる(ClarkandParrty1990)。
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