研究課題/領域番号 |
22720295
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高橋 寿光 早稲田大学, 総合研究機構, 客員次席研究員 (30506332)
|
キーワード | 考古学 / 古代エジプト / 土器 / 製作技術 / 化学分析 |
研究概要 |
本研究は、古代エジプト新王国時代第18王朝中期から第20王朝初期に特徴的な青色彩文土器を対象として、考古学的調査・X線化学分析・製作実験などを行い、製作技術を復元することを目的とする。今年度の研究では、エジプト、アブ・シール南丘陵遺跡から出土した青色彩文土器を中心に調査研究を行い、また比較調査としてルクソール西岸岩窟墓から出土した土器についても研究を実施した。 アブ・シール南丘陵遺跡の青色彩文土器については、資料化を継続し、胎土、装飾技術、成形技術などに関する基礎資料を得ることができた。また、資料化の過程では、青色彩文土器に対する意図的な破壊の痕跡も確認することができた。これまで古代エジプトでは、埋葬時における「赤色土器の破壊の儀式」が、文字資料、考古資料からよく知られていたが、青色彩文土器に対する破壊は、他の遺跡では、資料数が限られていることもあり、これまで指摘されてこなかった。今年度の調査により、これまで知られていない青色彩文土器に関する破壊の儀式があったことを初めて指摘することができた。また、前年度から継続して、本研究の比較資料となるルクソール西岸岩窟墓から出土した青色彩文土器の研究を実施した。当該遺跡の資料は、青色彩文土器の使用状況を示す良好な資料として挙げることができる。 本年度の調査により、製作技術に関する基礎資料を得ることができた。更に、新たに青色彩文土器の使用状況に関する知見を得ることができ、研究対象を広げる結果となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で、青色彩文土器の製作技術の解明に必要な調査として、考古学的調査・X線化学分析・製作実験の3つを挙げているが、そのうちの考古学的調査・X線化学分析については、今年度の調査で概ね完了することができた。また、調査後の資料整理、研究も概ね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに得られた知見をもとに、製作技術の工程を復元するとともに、それに対して、製作実験を行い、研究の蓋然性を高めていくことが必要である。
|