研究概要 |
22年度の研究成果に関しては,まず調査に必要な機材として高精度ハンディGPS(MobileMapper-CX)を購入し,分析に必要なGISソフトウェアやPCの購入・セットアップをおこなった。そして一度現地に赴き,古墳墳丘の現在状況を把握し調査の進め方の検討をまずおこなったうえで,墳丘の下草などが枯れ墳丘観察が容易になる冬期(本年度は3月)に,1週間ほどをかけて造山古墳の陪塚5基を対象として,GPSを用いた墳丘デジタル測量を実施した。取得した空間データは随時GISアプリケーションを用いて処理を行い,墳丘上をどのように歩行すれば最も効率がよいのか,あるいは計測ポイントの間隔をどのようにすればよいかなどを検証しながら作業を進めた。現在は,その調査時に取得したデータの後処理および解析の途中であるが,ハンディGPSを用いた測量の精度としては,誤差±1m前後で,やや誤差が大きいものの,次年度の調査に向けて比較のための基礎データとして,有用な成果が得られたと考えている。 本研究においては,デジタル測量を実施するにあたっての計測方法とデータの処理過程に着目し,出力される結果の相互比較やデータの精度について検証を行い,今後の古墳時代研究への援用に関して新たな展望をひらき,GPS利用の実用性を検討することを目的とする。次年度は,デジタル測量を実施するにあたっての計測方法を再検証することにより,位置データの精度向上や墳形の精度についても検討を行う予定である。 なお,学生や補助者などに作業補助を依頼することはせず,作業をすべて研究代表者がおこなったため,謝金およびその他の経費支出は発生しなかった。
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