研究課題/領域番号 |
22720304
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研究機関 | 北九州市立自然史・歴史博物館 |
研究代表者 |
宮元 香織 北九州市立自然史・歴史博物館, 歴史課, 学芸員 (80435908)
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キーワード | 環鈴 / 青銅器製作 / 古墳時代 / 復元実験 / 考古学 |
研究概要 |
本研究の目的は東アジア出土の環鈴について、これまでにない考古学的・科学的情報を集積し、本格的なデータベースを作成することで、古墳時代青銅器研究の進展をはかるものである。 中間年度となる本年の成果の第一点は、韓国における資料調査を実施したことである。実際に現地に赴き、3点の環鈴について実測・写真撮影などの資料調査をおこなった。そのうちの1点については、日本で想定したとおり日本国内に数多く分布するものと同じ製作技法によるものであることがわかった。韓国で確認された例は現在のところ1点のみである。また、韓国で調査した環鈴の中には、日本国内に分布するものと同じ製作技法のものがあり、日本国内の資料を調査していく上で大いに参考になる。 第二点としては、去年に引き続き日本国内出土環鈴の資料調査をおこなったことである。豊岡市所蔵2点、白鶴美術館蔵2点、春日井市個人蔵1点、宮崎市蔵1点、京都大学総合研究博物館蔵3点、寝屋川市蔵1点、袋井市蔵1点、磐田市蔵1点、御前崎市蔵1点、静岡市蔵2点、合計15点について、現地に赴き写真撮影や実測などの資料調査をおこなった。残念ながら科学的なデータについては所蔵者の意向等により採取していないが、実測図や細部写真を撮影できた。 第三点としては、研究協力者である鋳物職人とともに資料調査に赴き、資料を前に鋳造痕跡などについて議論しながら調査できた点である。具体的には湯口の取り付け箇所についてである。現在まで小型の三環鈴を中心に、鋳造時の湯口は環部分に接合したと考えていたが、大型品の観察により、鈴表面に湯口が付く可能性が考えられた。今後も環に鋳バリ痕のついた環鈴を実見することで、その痕跡について調べていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
23年度に予定していた環鈴の実験製作について、鋳物職人の業務の都合上、翌年度に先送りすることとなった。しかしながら、さらに観察所見を増やして実験製作のデータを強化することができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後も予定どおり研究をすすめていきたい。今年度は実験製作に加え、実見が足りていない関東地方の環鈴について、資料調査を実施する予定である。
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