研究課題
本申請研究の目的は、2000年以降の(1)公的機関で実践される多文化共生政策の特徴とその変容、(2)移民エスニック集団の組織化と発展過程、(3)多文化共生社会の実現に果たすローカルな地域コミュニティの役割についてそれぞれ包括的に調査した上で、それらの相互関係を実証的に明らかにすることを通して、来るべき「日本型」多文化共生社会のあり方を展望することである。本年度は、(1)公的機関(名古屋市中区役所まちづくり推進室)に対する聞き取り調査、(2)名古屋市中区に拠点をおき活動歴が長いフィリピン系移民団体に対する聞き取り調査、ならびに(3)地域コミュニティ(名古屋市中区栄東地区)のまちづくり団体に対する聞き取り調査を実施した。名古屋市中区を事例対象地域とし、多文化共生の現場に関与する主体それぞれに聞き取り調査を行うことができ、ローカルな都市地域社会のなかで、多文化共生社会が構築されていく(またはそれを阻む)ロジックの一端を実証的に明らかにすることができた。また、本年度は、「多文化共生」論の理論的研究も行い、トランスナショナル研究会(名古屋市立大学、2011年2月23日)で成果の一部を発表した。一方、当初予定していたうち、(4)国(総務省、外務省等)と愛知県の政策に対する聞き取り調査、(5)愛知県内の自治体に対するアンケート調査、(6)愛知県内の他フィリピン系移民団体への聞き取り調査は、上記(1)~(3)の調査に時間を割くことで実施することができなかった。次年度以降に行う予定である。
すべて 2011
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多文化共生研究年報
巻: 第8号(印刷中)
Internationa Symposium on Social Environment in Contemporary East Asia in the Age of Migration : International and Interdisciplinary Studies on Aging, Agriculture and Multicultural Situations
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