本申請研究の目的は、2000 年以降の①日本の公的機関で実践される多文化共生政策の特徴とその変容、②移民エスニック集団の組織化と発展過程、③多文化共生社会の実現に果たすローカルな地域コミュニティの役割について包括的に調査した上で、それらの相互関係を理論的・実証的に明らかにすることを通じ、来るべき「日本型」多文化共生社会の在り方を展望することである。 4年目(最終年度)にあたる本年度は、2年目までに得られた愛知県(多文化共生推進室)の人脈を活かして、①愛知県政における多文化共生施策推進に関する聞き取り調査を実施するとともに、②愛知県内の54自治体に対して「愛知県の自治体における外国人施策ならびに多文化共生施策に関する調査」とするアンケートを行った。アンケート票の未回収自治体があるものの、次年度中の前半にはすべてを回収し結果の分析を行う予定である。 また、3年目に行ったシドニー大都市圏郊外におけるオーストラリア型多文化主義とフィリピン系移民エスニック集団の組織化に関する調査の結果を、さまざまな学会・研究会(Internationa Geographical Union 2013 Kyoto Regional Conference(8月)、日本都市学会第60回大会(10月)、第1回東・東南アジア移民研究会(1月)、経済地理学会中部支部2月例会(2月))において発表した。発表内容は順次、論文という形で成果にしていく予定である。
|