研究課題/領域番号 |
22720321
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
筒井 由起乃 追手門学院大学, 国際教養学部, 准教授 (10368186)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 人文地理学 / 地域研究 / 東南アジア / 国際研究者交流 / ベトナム |
研究概要 |
本研究は、質的な「豊かさ」への志向が高まり、経済的・社会的な格差が地域レベルで拡大しているベトナムの動態について、子どもをめぐる社会環境からアプローチしようとするものである。その最終年度である本年度は、これまでの調査で得たデータおよび昨年度実施したベトナム人研究協力者との研究会の成果に基づき、研究をまとめている。その一部は、すでに公表されている。 ベトナムは、南北に細長い国土を持つことから、地域性に富んでいるといわれる。また南北分断を経験するなど、歴史的にみても北部・中部・南部の違いは大きい。そこで本研究では、この三地域を調査対象とし(北部はハノイ理科大学地理学部、中部はフエ科学大学地理地質学部、南部はホーチミン市人文社会大学地理学部をカウンタパートとした)、その結果を比較検討することにより、それぞれの地域が有している歴史的背景の違いや、現在の経済社会状況の違いを明らかにすることを試みた。この研究視角は、市場経済化によって近年拡大している都市ー農村間格差とともに、現在のベトナム社会を理解するうえで、重要であると考える。 本研究では、北部・中部・南部の各地域において都市部、農村部の双方から研究対象地を抽出し、①教育訓練省(日本の文科省に相当)、②調査対象地を管轄する地方自治体の教育訓練部局(日本の都道府県レベル・市町村レベル)、③幼稚園・保育園、④保護者、の4者に聞き取り調査やアンケート調査を実施し、実証的なデータを収集してきた。これらから、①幼稚園・保育園の形態(公立・私立・民立など)や分布の特徴や、②保護者の属性が多様化しており、それが教育に対する保護者の志向や子どもの環境に影響を及ぼしていること、などが明らかにされ、さらにそうした特徴が地域によって異なった形で現れていることが示された点は意義深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
産前産後休暇及び育児休業により9月から本研究を中断することになり、当初8月に予定していたベトナムにおける追加調査は実施できなかったが、代わりに、資料整理・分析、成果のまとめを前倒しして進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
来年、育児休業を終えて研究に復帰した後、本年度の予定を継続させていきたい。具体的には以下の通りである。 8月 :ベトナム調査(10日)【追加調査】 9月~3月:研究成果のとりまとめ
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