本研究は,市場経済化を進めて20年以上経過したベトナムにおいて,その目指す「豊かさ」がどのように変容し,都市-農村,北部-中部-南部といった地域ごとの違いがどのようにみられるのかについて,子どもをめぐる社会環境の変化から検討しようとするものである。 北部(ハノイ市,ハイズオン省),中部(フエ市,トゥアティエンフエ省),南部(ホーチミン市,ヴィンロン省)において行ったフィールドワークの成果を比較検討することによって,それぞれの地域が有している歴史的背景の違いや,現在の経済社会状況の違いが明らかとなり,保護者をとりまく「社会的ネットワーク」の違いも示された。
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