研究課題/領域番号 |
22720326
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
林 耕次 神戸学院大学, 人文学部, PD (70469625)
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キーワード | 国際情報交換 / 生態人類学 / 文化人類学 / アフリカ熱帯雨林 / アフリカマルミミゾウ / カメルーン:フランス / バカ・ピグミー / 野生動物 |
研究概要 |
初年度(平成22年度)のカメルーン東部州での広域調査に引き続き、平成23年度の調査では、2011年7月から約2ヶ月の現地調査を実施した。前半の地方都市ロミエを中心としたバカ・ピグミーの集落調査では、ゾウ狩猟の実施状況とそれらに関連した言説をめぐる地域差についての資料を収集した。いずれの調査地においても、「トゥーマ」とよばれるゾウ狩猟の熟練者の存在と、豊富な知識や経験に基づく語りには大きな意味があることが明らかになった。他方で、後半には長期的に観察を続けているドンゴ村周辺を訪れたが、当時、密猟者の摘発に関連した騒動が起こっており、狩猟採集民であるバカ・ピグミーの人々の暮らしにも少なからず影響がでていた。ゾウ狩猟を含めた慣習的な意味合いを含む狩猟活動は、外部からの圧力も相まって実施はもちろんのこと、口外されることがほとんどない状況にあった。そこで、旧知のバカ・ピグミーのほか、周辺の民族や行政機関、NGO関係者などへの聞き取りを通じて、地域に生じている相克の解明に取り組んだ。バカ・ピグミーの狩猟者に同行しての狩猟採集キャンプにおける参与観察は次年度に持ち越されることになったが、緻密な情報収集と、調査地域における関係機関や地域住民への説明を入念に行うことを心掛けた。こうした成果を受けて、アフリカ熱帯地域における地域住民とゾウ(マルミミゾウ)の多様な関係の把握を目指し、最終年度の調査と研究成果の公表に繋げることができるだろう。 また、次年度の現地調査を見据えた異分野(分子生物学、動物保全学など)の研究者との情報交換も行いながら、今後の研究の進展について検討をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広域調査の対象地域の変更と、調査地ドンゴ周辺における密猟者の摘発に端を発した騒動のために、当初の研究計画に基づく調査が行われなかったものの、これらは想定範囲内のことであり、次年度の調査に繋がる布石として十分な情報と資料を収集しながら現在に至っている。最終年度の調査と成果の公表についても進展中であり、おおむね順調な状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の調査地域であるカメルーン南東部、ドンゴとロミエ周辺を中心に、夏期(7月~9月)の調査を予定している。バカ・ピグミーの狩猟採集キャンプの同行には、いずれの調査地においても試みる予定であり、引き続き地域住民や行政、NGO機関等との連携を計ることで柔軟に問題へ対応する。また、慣習的な一面をもつバカ・ピグミーのゾウ狩猟についての普遍性を、より明確にするためにも、可能な限り広域調査による資料の収集を行う。
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