本年度は、エチオピアにおける予備的調査の実施と開発援助に関する研究文献の収集、食糧援助の統計データ分析を中心に行った。まず、エチオピアの予備調査では、アムハラ州の食料安全保障局において、エチオピア全土で実施されている食糧援助プログラム(Productive Safety Net Program=PSNP)を中心に聞き取り調査と関係資料の収集を行ったほか、ブグナ・ワラダでの実施状況について現地調査と資料収集を行った。その結果、2009年末で終了予定だったPSNPが5年間延長されることが決まったものの、すでに州当局の指示で段階的な配布者数の逓減が計画されており、生産基盤を強化したうえでの食糧援助からの脱却という基本方針とは異なる運営実態が明らかになった。また、食糧援助の統計データの分析からは、(1)最大の食糧援助拠出国であるアメリカの援助量が食物価格の高騰によって減少傾向にあること、(2)アフリカ最大の援助受け入れ国であるエチオピアでは、アメリカが最大の拠出国である一方で、ザンビアでは旧宗主国であるイギリスの割合が高く(ドイツ、日本が続く)、アフリカ諸国のなかでもドナーとの関係に違い大きいこと、などがあきらかになった。以上の分析をふまえ、さらに国際機関やドナー諸国とアフリカで実施されている食糧援助プログラムとの関係について調査を進める予定である。
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