研究課題/領域番号 |
22720327
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
松村 圭一郎 立教大学, 社会学部, 准教授 (40402747)
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キーワード | 開発政策 / 食糧援助 / 経済人類学 / エチオピア / ザンビア |
研究概要 |
本年度は、エチオピア・アムハラ州・北ウォッロゾーンにおける現地調査を実施するとともに、これまでの調査内容や昨年度の学会発表での議論をもとに食糧援助と森林回復プログラムとの関連についての論文執筆を行った。エチオピア北部・ウォッロ州での調査では、昨年度から調査の柱としている食糧援助プログラム(Productive Safety Net Program=PSNP)の実施状況について聞き取り調査を行うとともに、食糧援助の配布実績についての文書資料などの収集と分析を行った。今年度の調査研究からわかったことは、以下の3点である。1.現地の担当部局が実施していた住民の財産登録のデータ収集作業に同行し、その資料の分析を行った結果、財産として登録されている物財のほとんどが家畜であること、行政村によって世帯の保有財産に大きな違いがあることなどがあきらかになった。2.人口密度の低い地域への移住プログラムについての聞き取りと資料分析からは、PSNPが開始された当初は計画の半数ほどの参加者がいたものの、3年目には計画の13%ほどの移住者しか出ておらず、2011年には移住先での問題が生じたため、アムハラ州全体で移住プログラムが停止されていることがわかった。3.昨年度に収集した北ウォッロゾーンの食糧援助に関する行政資料の分析からは、食糧配布の条件となる「流域管理」のためのパブリック・ワークにおいて、植林関連事業が大部分を占めているものの、かならずしも計画どおりに進展していない実態があきらかになった。以上のような調査結果をもとに、来年度はザンビアでの食糧援助に関する資料収集を行い、エチオピアとの比較分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エチオピアでの食糧援助に関する現地調査が予定どおりに実施でき、これまでのところは十分な資料の収集ができている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題のひとつの柱は、エチオピアとザンビアの比較分析だが、限られた研究予算と時間のなかでザンビアとエチオピア両国での十分な現地調査を実施することが難しいため、来年度以降は、できる限り国内でザンビアの食糧援助に関する資料を収集したうえで、エチオピアとの比較を行っていきたい。
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