研究課題/領域番号 |
22720327
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
松村 圭一郎 立教大学, 社会学部, 准教授 (40402747)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | エチオピア / ザンビア / 食糧援助 / 移民 / 出稼ぎ |
研究概要 |
本年度は、エチオピアの二地域での現地調査とザンビアの食糧援助に関する資料収集を実施した。エチオピアでは、食糧援助の対象となっていないオロミア州西部と長年にわたって援助対象地となってきたエチオピア北部における聞き取り調査を継続し、ザンビアに関する調査では、日本国内の援助関係機関や文献等で情報収集を行った。エチオピア・オロミア州西部での現地調査では、農村部からの出稼ぎ民がさらに増加傾向にあり、調査村の173世帯を対象とした世帯調査から半数近くの世帯から女性がスーダンやサウジアラビア、オマーンといった北アフリカ・中東地域に出稼ぎに出ている実態があきらかになった。一方、エチオピア北部での現地調査では、食糧援助の援助対象者として登録された世帯では一時的な出稼ぎなどで村を出ると援助資格を喪失するため、かつて頻繁に行われていた出稼ぎが困難になっていることに加え、政府のプログラムであった人口過疎地域への移住政策で村を離れた世帯の多くが帰還したり、移住地を離れている実態が明らかになった。ザンビアの食糧援助についての調査では、2012年の作付けシーズンはとくに南部において干ばつと多雨による洪水が同時に起こり、深刻な食糧不足に陥っており、すでにザンビア国内で調達された穀物が現地に援助食糧として配布され、国際機関による大規模な食糧援助も開始されていることがわかった。以上の現地調査と資料収集の結果をもとに、最終年度である2013年度には、さらにアフリカ諸国の食糧援助の文脈のなかにエチオピアとザンビアの事例を位置づけて比較分析を進め、成果をとりまとめたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エチオピアでの現地調査は予定以上のペースで情報収集ができており、最終年度の追加調査によって研究計画を十分に達成できる。申請時より予算が縮減されたこともあり、ザンビアでの現地調査は十分にできなくなったものの、これまでの国際機関や援助団体からの聞き取り調査や資料収集によってかなり情報を集められており、最終年度の補足的な資料収集によってエチオピアとの比較分析が十分に可能だと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度が研究期間の最終年度となるため、より研究成果を確実にするために、これまで集中的に調査を実施してきたエチオピアでの現地調査をさらに深めることで、食糧援助が農村社会にもたらしている影響について、よりローカル・レベルでの認識や事象を把握することを計画している。2013年度は、現地調査を行う十分な時間を確保したうえで、さらに研究成果を国際学会で発表するなど、研究の発信にも努めたい。
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