研究課題/領域番号 |
22720340
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研究機関 | 滋賀県立琵琶湖博物館 |
研究代表者 |
老 文子 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 学芸員 (60470184)
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キーワード | 生活 / 生業 / 民家 / 間取り / 集落環境 |
研究概要 |
本研究の目的は、人々の生活・生業と集落環境との関係について、集落復原図を用いて多角的な視点で考察を行い、民俗学における新しい環境民俗建築学的方法論の確立と普及、今後の研究発展のための基礎資料の作成を行うことである。 今年度は、日本民具学会と日本民俗学会の2つの学会で研究成果を発表した。日本民具学会では「桶風呂の製作工程」というタイトルで講演した。滋賀県は、琵琶湖を中心に、大きく湖北、湖東、湖南、湖西の4つの地域に分かれ、それぞれ特色のある文化を育んできたが、主に湖北から湖東、湖南地域にかけて、少しの湯と浴槽内にこもらせた蒸気で入浴する半蒸半温浴の風呂があった。地域によって様々桶風呂を使っていたが、本講演では、桶風呂の製作工程を明らかにした。日本民俗学会第63回年会では「桶風呂のある農家の復元的研究」というタイトルで講演した。この講演は景観の中でも民家における生活の情景はどのようなものだったかについて復元的な研究を行ったもので、滋賀県彦根市肥田町の鹿島家などを研究対象に、聞き取り調査と民家実測調査を行い、民家における水利用施設、肥料生産施設について復元的考察を行った。 また、琵琶湖博物館ギャラリー展示「民具を科学する~明治の絵図と現代の実測図から見た近江の民具~」を開催し、その中で滋賀県で使われた桶風呂を例に、日本の半蒸半温浴の入浴文化の一例を紹介するとともに桶風呂の作り方を解説した。これらの内容を図録で紹介した。 さらに、これまでの民具研究の成果をまとめ、滋賀県立大学から博士号を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本民具学会で「桶風呂の製作工程」、日本民俗学会第63回年会で「桶風呂のある農家の復元的研究」というタイトルで講演したため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、今後の研究の方向性の明確化のため、現在収集している資料を中心に、間取り図の資料の特徴について取りまとめを行う。第一に、間取り図の概要の把握を目的に、間取り図に書関する基本情報の抽出を行う。第二に、近代軍事・徴税制度成立過程の把握を目的に、近代軍事・徴税制度の成立に関する既往の研究を整理し、間取り図の成立に関する記述の確認を行う。第三に、間取り図に関する法令・古文書の収集を目的に、国・県・市町村・大字から出された間取り図の作成に関わる法令た規則書・指導書・雛形といった古文書の収集を行う。
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