本研究では、社会主義国家である中国における最初の物権法の運用状況について、歴史的経緯を踏まえながら、比較法の視点から緻密な実態検証が行われた。関連する研究成果を要約すれば、次の通りになる。まず、社会の激動期にある中国では、民事制度の中核に関わる単行法が整備されたため、本研究は、民事法制度を鳥瞰的な視点から、物権法および侵権責任法(不法行為法)との共通点を明らかにした。次に、物権法制度の解釈および運用の特徴について解析を行い、物権法における善意取得制度を中心に、その誕生背景、条文解釈および紛争処理の実態を巡って複眼的な視点から検討を行い、問題解決の方法の提示を試みた。
|