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2011 年度 実績報告書

英国商事法廷の創設―商事裁判の運用改革の成功とマシュー裁判官のイニシアティブ―

研究課題

研究課題/領域番号 22730011
研究機関神戸学院大学

研究代表者

小松 昭人  神戸学院大学, 法学部, 准教授 (00315037)

キーワードイングランド法 / 判例法 / 商事法廷 / 裁判官 / 契約法
研究概要

本研究では、商事法廷の組織,制度の整備だけでなく、イングランドの商事法規範の形成において商事法廷の専門部としての特質がどのように発揮されたのか、も考察する。平成23年度は、契約締結交渉における当事者の言明(たとえば、契約締結までの、当事者間の口頭または書面のやり取り)は、契約書解釈の際に証拠能力を有するか、という問題を取り上げ、近時の貴族院判決(Chartbrook Ltd. v. Persimmon Homes Ltd. [2009]UKHL, 38; [2009]1AC 1101、以下、Chartbrook事件貴:族院判決と呼ぶ。)と19世紀以降の関連判例を検討した。その結果、つぎのことが明らかにされた。
イングランドの裁判所は、伝統的に、要式文書に関する紛争処理の経験から、契約書の解釈においては、その文言を自然の意味において、書面外の証拠を参照せずに解釈する、という文言直解手法を採ってきた。しかし、Investors Compensation Scheme Ltd. v. Bromwich Buiding Society [1998] 1 WLR 896事件貴族院判決を契機に、契約書の文言はその文脈に即して解釈するべきである、とする文脈顧慮手法が、学者や有力裁判官の支持を集めつつある。Chartbrook事件貴族院判決は、契約書解釈における文脈顧慮の手法を原則肯定しつつ、契約締結交渉における当事者の言明を、従来通り契約書解釈の証拠として排除した。しかし、ヨーロッパにおける契約法共通化の背景もあり、イングランドの裁判所(特に商事法廷)がChartbrook事件貴族院判決の立場に留まるとは考えられない.今後は、契約書の解釈手法の変化が契約内容の確定に関わる法理に与える影響を、契約書の補正rectificationに対象を絞り、判例の分析を通じて明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

検討すべき判例の件数が膨大であるため、読解に時間をとられている。また、判例によっては所属研究機関に所蔵されていない判例集に掲載されているものもあり、他の研究機関における所蔵の確認や複写依頼に時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

所属研究機関はオンラインの英米判例データベースを契約しているが、その活用によって、所蔵されていない判例集に掲載されている判例の探索時間を縮めたいと考えている。

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公開日: 2013-06-26  

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