研究課題/領域番号 |
22730016
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
三谷 晋 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (60352481)
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キーワード | Settlement / 行政上の和解 / Adjudication / Informal settlement / Formal settlement / APA |
研究概要 |
本研究の二年目にあたる平成23年度は、成果物として「SECの和解行政についての一考察」比較法雑誌45(2)125-158(2011年9月)を発表している。これは、アメリカ連邦証券取引委員会(SEC)の規制における和解settlement実務を検討したものである。 SECは、証券取引所法違反行為があった場合に、司法省の扱いとなる刑事手続をとる場合の他、自らは免許の剥奪や違法収益の没収、民事制裁金などの法執行を裁判所手続及び行政手続において行いうる。しかし、裁判所手続も行政手続も途中で行政上の和解によって事案が終結することが多いことが知られている。本研究では、当該和解の行われるタイミング、和解を促進させる仕組み、基準、手続、SEC及び処分対象者にとっての和解の意義と公衆にとっての意味について検討した。現状において利用頻度の高い和解は、SECにとって裁決例の実績づくりや政策誘導に使われるなど都合良く利用される可能性があり、また公衆参加を欠いたままの仕組みに問題のある点(他分野では公衆参加が一定程度認められているものもある)等、問題としてあげている。 年度後半からは連邦労働関係委員会の和解実務について検討をしている。具体的には、この領域には、委員会や職員のとるべき行動指針がかなりきめ細かく示されている実務マニュアル(casehandling manual)があるが、その中の和解に関する部分について、裁決と併せて検討中である。NLRBの和解では、正式の和解formal settlement、略式の和解informal settlement、nonboard adjustmentの三種類があるが、当然のことながらそれぞれの意義、内容・効果、基準、手続、限界等は異なる。24年度には先に検討したSECの和解とも比較しながら何らかの成果をだしたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SECの和解実務の分析に一年を要したために、若干遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
24年度は積み残した課題を粛々と進めていくつもりでいる。24年度前半に連邦労働関係委員会(NLRB)の和解実務の検討を終了し、後半からは反トラスト法における和解実務について検討をする。あわせて環境法領域における行政上の和解の検討を進めていく予定である。
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