研究課題/領域番号 |
22730016
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
三谷 晋 岐阜大学, 地域科学部, 准教授 (60352481)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | settlement / 行政上の和解 / NLRB / SEC |
研究概要 |
平成24年度は、平成23年度に引き続き、アメリカ連邦労働関係委員会(the National Labor Relations Board:NLRB)の不当労働行為事案における和解実務について研究を進め、「不当労働行為とNLRBの和解について」法学新報119巻7/8号293頁(2013)にまとめた。 司法手続及び行政手続で法執行がなされるSECはその双方で和解がなされうるが、NLRBの不当労働行為の法執行及びその和解は、SECとは異なり、法律の仕組みによって行政手続においてのみなされる。そのなかでの和解は、不当労働行為の行為者とNLRBとの間のものと、行為者と被行為者とのものがある。前者は、正式の和解formal settlementと略式の和解informal settlementがあり、後者には私的調整Nonboard-Adjustmentがある。論文ではそれぞれの和解の特色や限界について先に検討したSECとの比較などを交えつつ論じたところである。 NLRBの和解実務の検討の前後して、連邦環境保護局(EPA)による土壌汚染対策において活用される和解について検討している。和解の基準が内部的なものから実定法に示されるようになった経緯、その内容、及び和解実務に大きな影響のあった連邦最高裁判決の影響などを検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定ではすでにEPAの土壌汚染対策における和解についても検討が終わっているはずであったがその検討を現在進行中で行っている。このような遅れが生じたのは、一つには作業ペースが思ったほどあがらなかったこともあるが、一つには平成24年度においてアメリカの連邦公務員の不法行為事案において訴訟によらず和解による処理が行われている点について調査検討したためであった(結局このテーマは別の機会で検討することとした)。 現在は、鋭意土壌汚染対策における和解実務について検討している。これについてははやめにまとめていきたい。また今年度(平成25年度)は行政上の和解の総まとめをすべき時期であることもあり、研究会等で報告をしつつ、これまでの検討の総まとめをしたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は4年にわたる研究期間の最終年であるため総まとめをしたいと思っているが、その前に、EPAの土壌汚染対策における和解の活用についてまずはまとめておきたいともう。すでに資料等はそろえ、検討もかなりすすめてきたので、はやめにまとめていきたいと思っている。 その上で、税法や独禁法、クラスアクションにおける和解実務と対比させつつ、SEC、NLRB、EPAの和解実務の比較検討をし、和解実務とその背景にある理論の全容を示していきたいと考えている。
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