当初の予定通り、ドイツの新たな制度について、ミュンスター大学税法研究室およびドイツの税務行政庁(ミュンスター上級財務局)の研究協力をえて調査を行った。とりわけ、ミュンスター上級財務虚に起きては、今回の立法及びそれに関する施行令をはじめとする政省令、税務行政内での通達の作成にかかわった担当者から直接話を聞く機会を得ることができ、立法意図などについて詳細な資料や情報の提供を受けることができた。そのなかで、従来の評価統一の不統一の原因が事業承継を念頭に置かれたものであったことを理解し、新制度においてはそのための措置について判決で認められた範囲での事業承継税制のあり方を検討していることが中心となっていることを理解した。 これに基づき、2009年の相続税改正の原因となった連邦憲法裁判所による違憲判決の理論的・実務的意義を把握することができた。その中で、旧制度における事業承継税制とそのための相続財産の評価法に関する問題が理解できた。 そして、それを受けての改正の概要についても理解できた。具体的には、税制における財産評価方法の統一や事業承継のための事業用資産に対する減免措置の概要を理解することができた。そのうえで、これらの制度に関する理論的な観点からの問題点として、減免措置の多さなど公平性の観点からの問題についても示唆を得ることができた。 それを踏まえ、特に我が国において課税方式転換に向けた議論の発端となった事業承継税制について遺産取得税方式の下でどのように構築されるべきか、とりう点に考えるために、ドイツの新たな制度をまとめ、その論点を検討するための重要な資料及び視点を得ることかでさに。 この成果については、今年度は公表できなかったが、4月には研究会での報告を予定し、また学会誌(査読付)での公表も予定している。
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