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2010 年度 実績報告書

方法論的進化を遂げる実証研究と独禁法ルールとのマッチングに関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22730043
研究機関北海道大学

研究代表者

中川 晶比兒  北海道大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (20378516)

キーワード社会法学 / 独占禁止法 / 実証研究 / 再販 / バイアス / 落札率 / 裁量 / 役割分担
研究概要

本年度は、計量経済学の推計手法を学び、具体的な独占禁止法事例の考察に応用すると共に、争訟手続における実証研究の利用について検討した。まず、計量経済学の基礎的文献を精査して回帰分析を学び、R(統計ソフト)を使って基本的な実証を自ら行うことができるようになった。労働経済学分野に具体的応用事例を求め、家庭内労働、所得格差の連鎖に関する実証研究を、学部生向け授業で講義した。独禁法に特化した実証研究のセミナーを開催し、落札率と入札の競争性の関係、合併効果の分析手法のアップデート等について研究した。その成果の一部は、落札率の変化を談合の終期認定に用いた重要事件の紹介として公表した。実証研究の成果を受け入れる独禁法の側は、課徴金対象行為の拡大及び審判制度廃止法案によって近年揺れているため、これらの法改正(案)が実証研究の争訟での利用にどのようなインパクトをもたらすかを検討した。その結果として従来明らかでなかった以下の二点を解明した。第一に、裁判所と公正取引委員会とで実証研究の利用方法に差異があり、前者ではある程度評価の確立した実証研究しか採用されない可能性があるが、後者においてはより実験的な研究成果も、新たな経験則として採用されうる。すなわち、公正取引委員会は専門的経験則を補充し、アップデートしていく役割を担う。第二に、事実認定にかかる裁判所と行政機関の役割分担(実質的証拠法則及び行政裁量)を、計量経済学的発想によって再定式化できることである。すなわち事実の存否が連続変数的に決まるか、2値変数的に決まるかで、裁量の有無を判別可能である。最後に、再販売価格維持に関する実証研究のサーベイを行い、再販売価格維持の競争促進効果を示す実証研究で、信頼できるものはないことを明らかにした。これらの先行研究をアップデートする方法について引き続き検討中である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 独禁法エンフォースメント機関と裁判所の関係2010

    • 著者名/発表者名
      中川晶比兒
    • 雑誌名

      公正取引

      巻: 722号 ページ: 29-33

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 立入検査後も継続された入札談合2010

    • 著者名/発表者名
      中川晶比兒
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1413号 ページ: 56-57

  • [雑誌論文] 多摩談合新井組判決2010

    • 著者名/発表者名
      中川晶比兒
    • 雑誌名

      公正取引

      巻: 721号 ページ: 99-106

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Incrementally Redesigning Antitrust Enforcement : A Response to Professors Crane and Kurita2010

    • 著者名/発表者名
      NAKAGAWA, Akihiko
    • 雑誌名

      Hokkaido Journal of New Global Law and Policy

      巻: Vol.10 ページ: 97-108

    • 査読あり
  • [備考]

    • URL

      http://www.juris.hokudai.ac.jp/gcoe/journal/lpg.html

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公開日: 2012-07-19  

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