研究課題/領域番号 |
22730044
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
長谷河 亜希子 弘前大学, 人文学部, 准教授 (00431429)
|
キーワード | フランチャイズ / 独占禁止法 / 経済法 / 不公正な取引方法 / 優越的地位の濫用 / FTC法 |
研究概要 |
本科研費の研究目的である米国のLittle FTC法は、日本の独禁法の「不公正な取引方法」とその規制内容が重なる部分があるとされる。そこで、昨年に引き続き、日・米の比較法を行うための準備作業の意味も込めて、日本の独禁法の不公正な取引方法によるフランチャイズ・システムの規制、および、フランチャイズ規制に用いられることが多い行為類型(再販売価格維持行為、拘束条件付取引)の研究を行った。また、独禁法の管轄官庁である公正取引委員会による規制をきっかけとした民事の損害賠償の事件についても検討した。公正取引委員会が再販売価格維持行為だと認定する際のポイント、要件は、ほぼ固まりつつあるといってよいであろう。ところが、いざ、私訴となると、再販売価格維持行為を立証し、損害賠償を請求する原告は、いったい何を主張すればよいのか、現時点では明確になっていない。原則違法とされる再販であるが、他の被拘束者に対する拘束をも立証する必要があるのか否かなどにより、原告の立証負担は極めて大きくなる可能性があることも考慮すべきである。かつては、それに加え、損害額の立証という壁があったが、この点は近年民訴法248条が用いられ、立証負担が軽減されている。 また、少々視点を変え、フランチャイズ・システムの可能性を探るため、社会的フランチャイズについても若干取り上げた。近年、社会的企業が注目を集めつつある。フランチャイズ・システムも、ノウハウの伝達や経営システムの構築などの面では優れた点もある。そこで、その点を生かしつつ、社会問題の解決に役立つような事業内容でなおかつ、ロイヤリティ率を低額にして、加盟者を搾取しないようにするなどの特徴がみられるフランチャイズが出てきている。 さらに、同時並行で行っている米国のLittle FTC法自体の研究に関しては、日本語文献がないため、今年度は外国語文献の収集を主として行い、それらの検討及び規制類型の把握に努めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
州のFTC法それ自体を取り上げた論文の執筆に少々遅れがみられるためである。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、6月に日弁連の消費者問題対策委員会独禁法部会が米国にて行うフランチャイズ法制の調査に同行することになっている。FTC、アメリカ法曹協会のフランチャイズ部会所属の弁護士、アメリカの加盟者団体、イリノイ州のフランチャイズ規制担当者等からのヒアリングを行うべく、現在準備中である。今回の調査は連邦と州、双方のフランチャイズ規制の調査を目的としている。この調査の成果を生かして、今後の研究を進めたい。 また、本年度も、日本のフランチャイズ訴訟についての研究を続行させて、米国のフランチャイズ規制の調査、研究によって得られた知見を、日本のフランチャイズ問題の研究に生かしたい。
|