日本では現在、医療へのアクセスの問題が顕在化し深刻化している。背景には、利用サイドにおける医療保険の適用と給付(保険料を納付できないために「適用あって給付なし」といわれる状況にある)の問題のほか、医師不足(偏在、絶対数的不足)や医師の過重労働など供給体制に起因する問題がある(「保険あって医療なし」)。これらの問題の解消に向けた抜本的議論を提起するために、「日本型NHS」構築の可能性を探るべく、イギリスの現在の新しいNHS(国民保健サービス)の基本構造と論理を法的レベルと社会実態的なレベルで調査研究した。
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