・国内における離婚後の子どもの問題に関する先行研究の整理を進めた。 ・日本家族法の離婚後の親子関係に関する法改正について、世論動向や比較法の見地から広く資料収集を行った。 ・さらに、DV支援に取り組む行政、NPO、弁護士事務所などを中心に、インタビュー調査や資料収集を進めた。国内では、北海道室蘭市、京都府において、ドメスティック・バイオレンスの子どもへの影響、面接交渉の問題、離婚後の共同親権に関する意見を聞くことができた。現場で被害者対応に従事する方々から、現場の実践を学ばせて頂いた。これらは、公表される法実務からは知り得ない貴重な情報であり、今後の検討に活かしたいと考えている。 ・海外調査として、オーストラリアのヴィクトリア州メルボルン市において、ファミリー・バイオレンス問題における被害者の保護と家族法改正の間にあるジレンマについて、弁護士、行政機関、NPOなどに聞き取り調査を実施した。この調査の大きな成果として、オーストラリアの2006年家族法改正(離婚後、原則として父母平等なペアレンティング)と各州のファミリー・バイオレンス防止法の間で、離婚実務において大変な困難を抱えていることがわかった。とくに、離婚後の父母と子どもの関係の構築について、現場では様々な意見が出され法改正を検討中とのことだった。 ・なお、この海外調査の成果については、研究会報告(法理論研究会、法執行研究会、民科法律部会春季研究合宿などにおいて報告)や論文執筆(右記の通り)につなげることができた。
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