研究課題
本研究は、ドメスティック・バイオレンス事案を題材に、離婚後の共同親権・面接交渉の「制限」について、諸外国の立法や実務を調査し、子どもの福祉の視点から、日本における立法を進める上での課題を見出すことを目的としていた。平成23年度は研究最終年にあたり、1)諸外国の法制を調査し、さらに、2)ドメスティック・バイオレンス事案における離婚の過程で、被害者と子どものために必要な視点について検討した。1)については、アメリカ法、オーストラリア法において、離婚手続時に、ドメスティック・バイオレンスの被害者や子どもへの配慮のある法制が用意されていることについて調査、検討した。また、オーストラリアにおいて導入されている離婚後の共同親権が、ドメスティック・バイオレンス事案でどのように影響するのかという課題について、リチャード・シズム博士の論文を通じて研究できた。なお、当初予定していたアメリカ調査については、調査対象としていたNPOの都合で延期となり、インターネットを通じた情報収集を行った。2)については、離婚は、離婚手続から離婚後の生活の変化まで一連のものであり、当事者にとっては決して届出提出の一時のことでないという視点から、ドメスティック・バイオレンス被害者と子どもの安全や精神状況に配慮すべき点について考察した。また、離婚原因として配偶者間の暴力は一貫して上位を占めるにもかかわらず、家族法学においてこれに特化した研究が少ないことについても指摘した。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)
日弁連法務研究財団編の紀要『法と実務』又は『JLF叢書』に掲載確定
巻: (「ドメスティック・バイオレンス問題に対する行政・司法の対策・比較法研究(研究代表:町村泰貴)」の一部として)(掲載確定)