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2012 年度 実績報告書

契約法における「目的」概念の横断的分析

研究課題

研究課題/領域番号 22730078
研究機関名古屋大学

研究代表者

岡本 裕樹  名古屋大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90372523)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワード複合契約取引 / 契約の目的 / 行政契約 / 和解契約 / 事情変更の原則 / 保証契約 / 債権譲渡 / 組合契約
研究概要

本年度の成果としては、昨年度に脱稿していた「複合契約取引」概念の再考を促す論稿が公表されたことが挙げられる。この中では、複合契約取引概念から一定の法的取扱いを演繹しようとする見解を批判し、法的問題ごとに、問題の性質に対応させて、複合契約取引の視点を活用すべきとの結論を示した。こうした視座を基に、別の科研費に係る研究においてではあるが、行政契約の私法的分析の中で、行政活動の複合的性質を指摘し、一定の行政目的の達成のために、行政活動の一部として行政契約が用いられる場合、行政契約に関する紛争においては、契約を単体として個別的に取り扱うのではなく、行政活動全体での行政目的が考慮されていることを指摘した。また、契約と「目的」の関連性に関する研究として、利息制限法に反する金銭消費貸借契約をめぐり過去に行った和解契約に関し、平成19年以降の最高裁判決や法改正後に、錯誤無効の主張や事情変更による和解契約の解除が認められるかについて、これをいずれも否定した東京高裁の判決を、肯定的に検討した。加えて、未公刊ではあるが平成24年度内に脱稿済みの研究として、主債務に関する債権譲渡を連帯保証人が承認した後に、連帯保証人が連帯保証契約に関する錯誤無効を主張できるかについて判断した東京高裁の判決を、批判的に分析した。複合契約取引の一つである保証取引に関する研究として位置付けられる。
現在は、組合契約の契約性について分析を行い、公表の準備を進めている。伝統的に、契約ではなく、合同行為として類別されてきた組合契約だが、契約として眺めれば、複数当事者間の複数契約を「共同の事業」という「目的」により一体化する機能を果たしているとも評価できる。類似の契約は、これまでも「基本契約」や「枠契約」として想定されてきた中で、契約としての組合契約に、これらとは異なる独自の機能や意義が認められないかを、検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、別の科研費に係る研究課題についての公表を行ったほか、他の共同研究に係る研究成果の公表にも携わらざるを得なかったために、本研究の公表に若干の支障をきたした。

今後の研究の推進方策

これまで本研究と並行して行ってきた別の科研費に係る研究課題や他の共同研究に係る研究課題については、平成24年度において全て終了したことから、平成25年度は、本研究に注力し、研究成果を集大成したい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 東京高判平成24年5月24日の判批2013

    • 著者名/発表者名
      岡本裕樹
    • 雑誌名

      民事判例

      巻: 6号 ページ: 未公刊

  • [雑誌論文] 東京高判平成23年9月9日の判批2012

    • 著者名/発表者名
      岡本裕樹
    • 雑誌名

      判例評論

      巻: 645号 ページ: 2-7

  • [図書] 市民法の新たな挑戦2013

    • 著者名/発表者名
      松浦好治、松川正毅、千葉恵美子
    • 総ページ数
      686
    • 出版者
      信山社出版株式会社
  • [図書] 民事法の現代的課題2012

    • 著者名/発表者名
      小野秀誠、滝沢昌彦、小粥太郎、角田美穂子
    • 総ページ数
      1242
    • 出版者
      株式会社商事法務

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公開日: 2014-07-24  

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