平成22年度は、法の起源と金融市場の発展を巡り展開された様々な議論について整理・検討を行った。具体的には、Brigham Young University Law Review Volume 2009 Issue No.6に「法の起源は金融市場の発展に影響を与える」との命題に関するこれまでの主要な研究成果の紹介およびそれらの研究成果に対する批判・検討を行った13の論文が掲載されていることから、これらの論文およびそこに引用されている一連の論文・文献について検討を行った。それにより、当該命題を巡って今までに蓄積された研究成果を整理・検討するとともに、法の起源と金融市場の発展を巡る最新の議論の状況について確認することができた。 また、わが国の株式会社法制の歴史的展開に関して、法学者により幾つかの新たな研究成果が公表されていることから(中東正文・松井秀征編『会社法の選択-新しい社会の会社法を求めて』(商事法務、2010)、松井秀征『株主総会制度の基礎理論なぜ株主総会は必要なのか』302~405頁(有斐閣、2010))、これらの研究成果およびそこで引用されている論文・文献についても参照した。これらの研究成果を参照しつつ、わが国における株主保護法制・債権者保護法制・証券市場規制の発展と株式所有構造との関係について、さらに自らの考えを展開させていきたい。 さらに、早稲田大学の宮島英昭教授と、共同研究について何回か打合せを行った。わが国における法制度の展開と株式所有構造との関係について同氏と共同で論文を執筆する予定であり、平成22年度の研究成果はこの共同研究にも生かされている。
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