研究概要 |
平成24年度は次のような研究作業を行った。 第一に、法と起源と金融市場市場の発展を巡る議論に関する最新の研究成果および問題意識を確認するために、文献の読込みを行った。具体的には、Simon Deakin and Katharina Pistor(ed), Legal Origin Theory (2012).およびRandall K. Morck(ed), A history of Corporate Governance around the World: Family Business Groups to Professional Managers (2007).に収録されている文献およびそれらの文献に引用されている文献・資料について読込みを行い、検討を行った。それにより法的起源説を巡って金融危機後の法制度改革の状況も踏まえてさらに議論が進展していることを確認することができ、自らの論文を執筆する際の問題意識を深めることができた。 第二に、上記の文献の読込み作業と並行して、わが国における株式会社法制・資本市場法制の展開と所有構造の変化について、宮島英昭教授と共同で論稿の執筆作業を進めた。同教授は所有構造とガバナンスに関するわが国の第一人者であり、共同研究に参加させていただくことで、研究手法等の点で多く吸収できる点があると考えたためである。 第三に、Colin Mayer教授の最新の著書である、Firm Commitment: Why the Corporation is failing us and how to restore trust in it (2013).の翻訳作業にとりかかった。本書は各国の法制度と所有構造との関係に関する同教授の長年の研究成果に基づいて書かれたものであり、翻訳作業を通じて自らの研究に対する問題意識をさらに深化させることができると考えたためである。
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