研究課題/領域番号 |
22730091
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研究機関 | 流通経済大学 |
研究代表者 |
笹岡 愛美 流通経済大学, 法学部, 准教授 (50557634)
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キーワード | 運送契約 / 荷受人 / フランス運送法 |
研究概要 |
平成23年度は、研究計画全体の中でも、ドイツ法および2008年ロッテルダム・ルールズに関する部分について研究を進めた。 ロッテルダム・ルールズについては、平成23年11月、UNCITRALにおいてロッテルダム・ルールズの作成を担当した委員会のメンバーを招き、「アジア・太平洋地域におけるロッテルダム・ルールズ」(http://w欄.gcoe.j.u-tokyo.ac.jp/activities/Rotterdam.pdf)と題する国際シンポジウムが開催された。筆者は、本シンポジウムにパネリストとして参加し、資料の準備、報告原稿の翻訳などを担当した。本シンポジウムについては、これをまとめた書籍(英語、日本語)が出版される予定である。また、平成23年度より早稲田大学海法研究所の招聴研究員として着任し、海法研究所の活動にも参加している(平成23年9月に、「東アジア海法フォーラム2011」が開催された)。 さらに、法務省が主催する、「商事法(運送関係)勉強会」に参加し、フランスの運送法制について調査・報告した。とくに、フランスでは、運送法を集約する仕組みとして2010年に運送法典が成立しているため、この法典について詳しく紹介した。 そのほか、海事に関する判例評釈を2件公表した。1件目は不法行為訴訟における国際裁判管轄が問題となった事案であり、2件目は堪航能力担保義務の有無と荷受人の地位が問題となった事案である。いずれの事案も、第三者(再傭船者、荷受人)と運送人(船舶所有者)との契約に類する関係が問題となっていた点に、本研究課題との関連性がある。また、平成24年度にかけて、商法577条、580条の沿革とその後の展開(普通ドイツ商法典、1897年ドイツ商法典、CMR、1998年改正ドイツ商法典)を調査し、4月に開催された慶應義塾大学ロェスレル研究会においてこれをまとめたものを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度はドイツ法について研究を進める予定であったが、期間中にフランス法の調査や英語文献の翻訳を依頼されたため、当初の計画通りに進行することが困難になった。ドイツ法の研究については平成24年度中も継続して行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
運送法に関しては、日本だけではなくほとんどの国において新たな体制が模索されている段階である。申請当初は、フランス、ドイツ、条約という形で研究対象を区切ってきたが、この間、フランスにおいて運送法典が成立し、またドイツにおいて海商法改正案が提出されるなど、各国の状況は大きく変容してきた。今後は、最新の情報に常に注意を払いながら、当初の研究計画を進めていくこととしたい。
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