物品運送契約において、 契約規範の設定に関わらなかった第三者 (荷受人や運送品の所有者)であっても、契約規範に拘束されるのか、そうであるとするならばそれはどの範囲で認められるべきなのかという問題に取り組むための基礎的な研究を行った。具体的には、世界的に運送法制の現代化作業が行われたこと、および、物品運送契約の特殊性を把握するためにその実態を理解する必要があったことから、 おもに (1)各国の運送法制の調査 (2)関連する裁判例の分析、 (3)運送取引の実態に関する調査を実施した。 これらの作業の結果、物品運送契約に関わる第三者の中には、定型的に当事者と同視できる者と、法律上は当事者と同様の地位に置かれていたとしても、契約規範に拘束されることを認めるべきではない者が存在していることが明らかとなった。
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