取引のコストを低減し円滑化するために,履行拒絶を中核とした契約危殆状態につき,契約危殆状態に陥った契約当事者がどのような規範に従って行動するか,その行動を法規範がどのように評価するかを明確化し,より効率的な規範を探究した。 主要な成果は次のとおりである。①履行拒絶の本質的要件は確定性である。②確定性の有無の重要な判断規準に「相手方の意思確認を行ったか否か」がある。③これまで顕在化しなかった履行拒絶の類型の1つに正当化事由のない履行拒絶がある。これを履行拒絶の問題に位置づけるか,各種正当化事由の問題に留め置くかについては更なる検討を要する。
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