保険制度の形成過程で誕生してきた様々な法や約款において、損害防止義務および損害防止費用負担義務が如何に規定されてきたのかを解明することが、当該制度における両義務の必要性を理解することにつながる。その足掛かりとして、本研究では、わが国の非海上保険を中心とする損害保険分野における現状に対して、海上保険実務では、保険者によって損害防止費用が負担されている事実を踏まえ、海上保険実務において世界的に絶大なる影響力を持ち、その支配力を誇ってきた英国の海上保険法制、その中心にある1906年英国海上保険法の下、損害防止義務および損害防止費用負担義務にかかる規定が如何に運用されているのかを明らかにする。
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