本研究は、政策形成過程研究の方法論の体系化に向けた第一歩として、合意形成論(consensus building theory)の応用に焦点を絞り、国際レベルからローカルレベルに至るまで、多様な政策形成における合意形成過程を分析できる方法論の体系化を試みた。平成23年度には、第一に、合意形成研究の方法論の試行適用として、2つの事例について、定量的手法と質的研究手法のそれぞれを適用し、特にアクター間の連携に着目した政策形成過程の分析を試行した。具体的には、宮城県石巻市における高台移転に関するアンケート調査の統計分析と、地方議会における合意形成過程について議員を対象とした聞き取り調査と質的分析を大学院生に実施してもらった上で、研究の方法論としてのフィードバックを得た。また、合意形成研究の方法論に関するガイドラインをとりまとめた。具体的には、研究の方法論として、帰納的、演繹的アプローチそれぞれを比較したうえで、対象事例の設定、データ収集、理論との整合などについて整理した。また、合意形成の実践手法、教育手法、研究と実践の融合としてのアクションリサーチについて整理した。なお、とりまとめにあたっては、国際学会(北京における交渉教育に関する研究会、米国紛争解決協会環境政策部会年次総会など)において発表し、合意形成の研究と実践に関する方法論に関する情報収集を行うとともに、本研究で検討した研究の方法論についてフィードバックを得た。
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