本研究の目的は、戦後日本の政策決定過程において、野党が与党の政策の内容に対し及ぼしてきた影響を理論的、実証的に分析することにある。平成22年度は以下の研究を行った。 戦後歴代内閣の主要な政策を与党の政策と考え把握することに努めた。また歴代内閣が国会に提出した重要法案も与党の政策と考え把握し、重要法案の立案過程および国会における審議過程をたどった。その一方で、主要な野党が掲げた政策内容や内閣の政策に対し行った主張を把握した。これまでの研究では1955年11月に自民党が成立してからの時期については、内閣が掲げる政策について野党が主張を行うという傾向が強いことが判明した。しかし、1993年に細川内閣が成立して以降の時期の場合は与野党の関係は異なることが判明し、いくつかの政策課題については野党が積極的に取り上げ、それに続いて内閣が政策課題を取り上げる場合があることが判明した。すなわち、これまでのところ行政改革や構造改革については野党が政策課題として掲示することが与党がこれらの政策課題に取り組むよりも時期的には早いことが判明した。 本研究は野党が与党に対して及ぼした政策の影響力は政党間競争の状態に大きく左右されると考えており、このため、戦後日本政治過程において政党間競争が変化する過程の把握に努めた。特に平成22年度は1955年から1970年代まで政党システムが変遷する過程を把握するとともに、1993年に自民党が分裂してから2003年に民主党と自由党が合併するまでの政党システムが変遷する過程を把握することに努めた。また、1955年以降から最近までの参議院の議席状況の把握にも努めた。
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