研究課題
従来の行政学では、階統的・一元的な官僚制組織が効率的な行政運営を生み出すという古典的な主張が行われる一方、多元的な組織編成の下で展開される競争的・冗長的な行政の可能性についても理論的な検討が加えられてきた。本研究は、後者の多元的組織編成に基づく行政のあり方を「多元分散型行政システム」と捉えた上で、その発現形態たる「重複行政」の実態に関する比較分析を行うことにより、「多元分散型行政システム」の意義と理論的可能性を再検証しようとするものである。研究最終年度となる平成25年度においては、昨年度に引き続き、道府県と指定都市の「二重行政」を解消させるための大都市制度改革に関する検討を行い、2013年5月に愛知大学名古屋校舎で開催された日本行政学会において、「大都市制度改革の構想と設計―『特別市』構想を中心に」と題する報告を行った。また、東日本大震災からの復興という局面において、多元的な行政組織編成がもたらす理論的意味について考察を行い、「多重防御と多機関連携の可能性」と題する論稿を執筆した。そこでは、冗長行政の意義と限界について、この4年間の研究成果を踏まえて理論的な整理を行うとともに、財源・人材等の利用可能性が限定されている中で、既存の組織体制を活用しながら質の高いサービスを提供する仕組みとして「多機関連携」に着目し、その可能性を展望した。具体的には児童相談行政に関する既存研究を参考にしつつ、被災者就労支援行政をめぐる多機関連携に注目して考察を行った。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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御厨貴・飯尾潤責任編集『別冊アステイオン 「災後」の文明』
巻: 阪急コミュニケーションズ ページ: 64-81
人事院月報
巻: 768 ページ: 2-5
http://www.comp.tmu.ac.jp/msito/index.html