本研究では、以下の成果を得た。第1は、理論的貢献である。本研究では、アメリカ行政学の再検討を通じて、従来日本の行政学では十分な整理が行われてこなかった行政の冗長性に関する理論研究をまとめることができた。行政の冗長性とそれに基づく多重防御という考え方は、東日本大震災後の日本の行政・地方自治のあり方を考える上で重要な理論的貢献をなすことが明らかになった。第2に、日本の大都市制度改革と就労支援行政の事例から、多元分散型行政の実践的な意義を明らかにした。その結果、各主体のコミュニケーションを可能にする連携の場を構築し、連携を可能にする人材を育成することが重要であることが明らかになった。
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