今年度は最終年度であることから、研究成果報告を中心に行った。 第1に、補足調査として、新エネルギーを地域振興政策(具体的には環境政策分野でなく産業政策分野であったことが重要である)に据えている大分県の調査、北海道夕張市の財政再建の進捗状況調査等を行った。これについては、以下の研究成果報告において発表した。 第2に、日本都市社会学会2013年度大会「テーマ報告部会 都市と自治体政策」にて、「国策と自治体」と題し、本研究の成果を報告した。これまでの研究のまとめとして、旧産炭地域の地域振興・財政再建の現状、地域振興政策として新エネルギーに取り組んでいる自治体政策、および原子力発電所立地自治体の振興政策、そして原子力発電所事故下に置かれた立地自治体の復興策について、総合的長期的視野から発表した。 第3に、所属研究機関である福岡県立大学人間社会学部公共社会学科に設置している「まちづくり政策能力向上講座」において、「夕張の今 地域振興と財政再建」というプログラムを企画・実施した。これは、本研究のテーマである、エネルギー政策転換に伴い立地自治体の政策はどのように影響されるのか、北海道夕張市の現状についてゲストを迎え、講演・座談会を実施したものである。特に、福岡県立大学で実施した理由は、本学が夕張市と同様に旧産炭地域である福岡県田川地域の振興のために設置されたためである。したがって、単に研究成果の一つとしてだけでなく、地域振興へのヒントを探るための地域貢献プログラムである。北海道と福岡県の産炭地域関係者が交流する場としても機能することができた。 以上から、今年度の研究の成果は、国のエネルギー政策転換とこれが立地自治体に与える影響を明らかにするという当初の目的を達することができ、学会等で政策研究への寄与と同時に、エネルギー立地自治体への地域社会貢献も果たすことができた。
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