研究課題/領域番号 |
22730122
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
野田 遊 愛知大学, 地域政策学部, 准教授 (20552839)
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キーワード | 府県民参加 / 政府規模 / デモクラシー / システム容力 / 市民有効性 |
研究概要 |
本研究は、都道府県における民主主義にかかわる制度の全体像の把握とその背景の分析、整理を進めることにより、広域政府における民主性の要件の導出を図ることである。広域自治体の効率性分析はなされることもあるが、民主性の分析はほとんどない。それにもかわらず、近年提言されてき道州は国の出先機関ではなく民主的な自治体である。本研究では住民アンケート等を通じて、広域政府における民主性の機能要件を定量的に検証した。平成23年度は対象府県を関西2府4県とした。このため、前年度の九州7県のデータを加えると13府県のデータを収集したことによる。総数で2,579を回収し、政府規模との関係において民主性要件の解析を行った。 具体的には、広域自治体である府県における参加と政府規模の関係について、ダールの市民有効性とシステム容力、動員モデルなどの先行研究をふまえ、実証的に探究した。結果、府県規模が大きくなれば府県の政策や制度への認識が薄れるが、市町村規模は逆に大きな方が府県への認識は高まり、認識の高さは府県政参加を促進する、小さな市町村の住民は、府県への期待が低く参加が抑制されるなど、府県と市町村の両政府規模の作用を明らかにした。特に小さな規模の市町村民の府県政参加は構造的に弱く、その解決策としての参加手法についての可能性を検討した。 また、府県政参加について、その目的を手がかりに何への参加か、どのように参加するかかといった参加の対象と手法の検証をした。直接利害が及ぶ予算の大きな政策に対しては正統化という参加目的を志向し住民自らの個人的決定を重視するのに対し、直接利害が及ばない政策で予算規模の大きなものは、特に測定を志向し、政策の進捗状況等の情報入手を重視することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、アンケートをはじめ調査を着実に進め、多くのデータにより、政府規模と民主性規準関係を明らかにしたため。予定通りアンケートを行い、適宜分析を進めてきたため順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は東京都のデータも加えて、さらに研究を発展させる。具体的には、東京都民の民主性規準について政府規模との関係において定量的に明らかにする。つまり、東京都においても他府県と同じように、政府規模が大きなほど民主性規準が低下すると捉えられているか、また、都内の市町村は、政府規模が大きな方が府県への民主性規準は効果があるといえるかを明らかにする。これらの明らかな点をふまえ、最後に政府規模が大きい道州政府における民主主義のあり方について検討する。なお、計画の変更はない。
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