研究課題
1960年と1970年代は、アメリカにとって現存の医療保険システム(貧困者、高齢者、障害者は公的保険に強制加入、その他は民間保険に任意加入)が出来上がった時期である。1965年には、貧困者向けにメディケアが、高齢者と障害者向けにメディケイドが公的保険として成立した。そして1973年には、健康維持機構法(Health Maintenance Organization Act)が成立した。その後比較的安価な民間保険である健康維持機構(通称HMO)が民間保険の成長を後押しした。本研究は、1960年代から1970年代にかけてのこのようなアメリカ医療制度の発展を、アメリカ医師会が採用した戦略の変化に注目しながら分析することを目的としている。日本との比較研究を視野に入れながら研究を行なう。平成22年度は、第一に国内における資料調査と文献収集を行なった。アメリカの医療制度についての調査が進むにつれ、日本の同年代の医療制度発展についても一次資料を収集する必要性が出てきて「日本医師会雑誌」や武見太郎日本医師会会長についての資料を中心に収集を行なった。日本の資料調査の結果の一部は論文としてまとめた。第二に、2月から三週間のアメリカ合衆国ワシントンDCにおける質料調査を行なった。退役軍人団体でめるAmerican Legion関連の資料収集を主に行なった。当初の予定では1960年代の医療制度の発展を調査するためにリンドン・ジョンソン大統領図書館に赴く予定であったが、1950年代の資料不足が判明し、それを補うためにワシントンDCでの調査となった。
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Academia, Journal of the Nanzan Academic Society, Social Sciences
巻: 1 ページ: 49-56